「何のために生きるのか?」ひとつの仕事に絞れない時期

やなせたかしから学ぶといえば、

 

「何のために生まれて 何をして生きるのか」

 

という、アンパンマンのテーマソングでもある、

あの思い問いかけを思い浮かべることも多いと思う。

 

しかし、やなせたかしほど

色々やっていて何が本業か分からない、という人もいないと思う。

 

テレビで司会をやったり、映画雑誌のインタビュアーをやったり、

漫画家としては代表作もなく、確かに何か分からない。

(そもそも晩年は「アンパンマンの作者」であって、

絵本作家なのか漫画家なのかもよく分からないが・・・)

 

 

1960年、ある漫画評論家から、

「そんなに色々やっていたんじゃあ、やなせたかしの漫画が何かはっきりしない」

と忠告を受けている。

 

それにしても1919年生まれのやなせたかしが、

1960年に「何をやっているのかよく分からない」と言われたということは、

すでに40歳は過ぎていたことになる。

これは、今の時代でも焦る人は相当焦る出来事だと思う。

 

まだ昔の人の方が、色々やるよりは一つの会社・一つの仕事に絞って

全人生を投入するイメージがある。

 

それなのに、60年代という時代に、40代という年齢で、

「何をやっているのか自分も他人も良く分からない」という状況に、

やなせたかしは良く耐えたなあと感心する。

 

あと、女性の立場から言うと、やなせたかしの奥さん(暢・ノブ)さんも、

よく夫を支えて信じてあげられて、これはもう女としては立派だと思う。

 

しかも、アンパンマンの絵本が1973年に初めて世に出たというから、

もうその頃にはやなせたかしも50代だ。

 

さらに言うと、アニメ化は平成になってからの1989年で、

やなせたかしは69歳だし・・・。

 

アニメのために作られたであろうテーマソング

「何のために生まれて、何をして生きるのか」という歌詞。

まだその頃は「アンパンマンはヒットしないだろう、

半年で終わるだろう」と思われて制作されていたから、

このテーマソングはやけくそか、あるいは半年だけでも

ホンモノのメッセージを込めようと思って作られたか。

非常に興味深いところであはる。

 

もし、やなせたかしが、

「私の天職はコレです」と20代にはもう分かっていて、

自分が何のために生まれてきたのかほどんど悩まずに

「何のために生きるか分かっている」人だったら、

おそらくこの歌詞は書けなかっただろうと思う。

 

だから、もしこのテーマソングのメッセージを受け取ったとき、

「そういえば何で生きてるんだろう?」と思って、答えが出なくても、

あたしはちっとも慌てる必要はないんだ、と思ってみたりする。

 

メッセージを発信したやなせたかし本人も、

随分悩んでいたのだから。

 

とはいえ、悩みたくなくてもふと悩んでしまうのが、

こういう問いかけの性質であるとは思うが・・・。

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