タロット占いの途中で陣痛が来た話

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初産は予定日よりも出産が遅れることが多いらしいが、
あたしの場合も、9日遅れた。

予定日を過ぎた後の検診は、3日おき。

補助券が切れて検診費用が全額負担になるプレッシャー。

医師からは早く生まないと羊水が濁る、っていうプレッシャー。

あと義理の親からの何気ない電話とかもプレッシャー。

「何でもいいから陣痛早く来い」と毎日悶々とする日々。

とにかく、動け動け!の毎日で、
マンションの1階から最上階まで何往復も上ったり降りたり。

最寄り駅から2駅先のショッピングモールまで歩いたり。

とはいえ、一日中歩き回るわけにも行かず、
かと言って遠出はできないから、
基本的には自宅で暇をもてあましていた。

本当に暇だったので、あるWeb上のサービスで、
「タロット占い練習」のコミュニティに登録。

あたしは、ちょっとかじったことのあるだけだった「タロット占い」という特技(?)で、
占ってもらいたい人を募集することにした。

そのタロット占い練習のコミュにティーは、

「あくまで練習であることを納得した上で、
占ってもらいたい人が相談内容を書き込み、
占いの練習をしたい人が占って結果を披露する」

というものだった。

あたしは占いたくてうずうずしていたが、
実は世の中、練習でも何でも、
占いたい人より占ってもらいたい人の方が多いらしい。

「占ってほしいなんて人、いるのかな?」なんていう心配は一瞬で消え、
結局、あたしは占い放題だった。

本当にあの頃はかなり初心者だったのだが、

占ってあげた人から、

「けっこう当たってます!」みたいなコメントがつきはじめた。

パチンコみたいなもんで、タロット占いにもビギナーズラックがあるらしい。

しかしこの評判?が、ほんとに悩んで困っている人を、
どんどん呼び込み始めてしまう・・・。

このサービス、利用者同士が非公開のメッセージを
送れるようになっていたため、
早く占ってくれと催促が来たり、
メールでもっと詳細な相談内容を送ってくる人が出てきてしまった。

繰り返すが、あくまでタロット「練習」のコミュニティーだ。
もちろんやってあげるのは全部無料。

正直、催促には参ってしまった。

やっとの思いで鑑定して結果を伝えても、
中にはお礼すら言わない人も。

これじゃ、当たってるのか当たってないのかも分からないので、
ちゃんとした練習にもならず。

そして「メロンパンナちゃん」を名乗る女性からの鑑定依頼に、
詳細メールで結果を伝えたときのことだ。

納得いかない部分があったらしく、
「ここは、どういう意味ですか?」と質問で返されてしまった。

エセ占い師のあたしは、ここで冷や汗もんである。

何度もメッセージを往復しているうちに、「メロンパンナちゃん」とは、
もうタロットを介さない人生(というか恋愛)相談になってしまった。

実はあたし、24歳で初めて付き合った人とそのまま結婚してしまったので、
恋愛をアドバイスするほどの経験はまったく積んでいないのだ。

もうアドバイスの有用性はゼロに近い。

幸い、対面ではなくネット上のやり取りだったんで、
旦那に泣きついて、手伝ってもらうことに。

(旦那もタロット占いできる。
というか、タロットはアマゾンで1000円以下で買える。
解説本は図書館でも借りられるし、今やネットにも載ってる。
つまり、誰でもできるんだけど・・・)

とにかく、まったく面識のない「メロンパンナちゃん」の相談に、
夫婦二人で夜な夜な取り組む始末・・・。

とにかく「メロンパンナちゃん」の質疑応答が過熱してしまい、
この相談者としっかり向き合うため、
後から来た催促やらメッセージでのタロット鑑定依頼はすべてお断りした。

彼女の相談内容から、旦那が男の気持ちになって占うなど、
夫婦でタックを組んだ占い師コンビが誕生したのだった・・・。

最終的には、さらっと結果だけを送信するから、
相談者側から見れば、あたしが一人で
さくっと占ってずばっと言い当てているように見えただろう。

舞台裏では、タロット解説書をひっくりかえし、
あたしと旦那が、男女それぞれの立場から
「こういうことだろう」と意見を出し合い、
いったん解釈を固め、
それから「彼女を傷つけず、かつ前向きなアドバイスを・・・」
と文章の添削をしていく。

そして、もうこの頃には重たい生理痛みたいな感覚があり、
陣痛の予兆が見えていた。

とうとう、メッセージのやりとりは終わらないまま、
陣痛が5分置きになってしまったとき。

そもそも陣痛がいつくるか分からない臨月の妊婦であることは
事前に伝えていたので、やりとりが知りきれトンボになっても
もういいや、と思っていたのだが・・・

「このままじゃ、気になってお産に集中できない!」

と思いなおしたあたし。

そして送ったメッセージは下記の通り。

「メロンパンナさん

こんにちは。
解答が不足していたとは思うのですが、
とうとう本格的な陣痛が始まりました。これから入院となります・・・。

今思考が全然回っていない状態ですが、
ちょっと気になったのでもう一度メッセージ遅らせて頂きました。

がんばってくださいね」

・・・・ちなみに、相手のハンドルネームは
このブログ記事用の仮名だが、
実はアンパンマンに出てくるキャラクターの名前であったことは事実だったりする・・・。

娘も3歳を過ぎ、懐かしい陣痛直前のドタバタエピソードだが・・・。

だけど、もしかすると、これもアンパンマン苦行の一環だったのかも知れない。

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