【友達と足並みを揃えるのが苦手だった】
やはり小学校高学年の時の話。
1クラスで数名しか枠のない飼育委員になりたい希望者が殺到し、
じゃんけんで決めることになった。
一緒にじゃんけんに参加した女の子が負けてしまい、
あたしだけが勝ち残った。
あたしは当然、自分が希望した飼育委員になったのだが、
負けた女の子に
「普通、友達が負けたら一緒に抜けるよね」と言われる。
それからその子からは距離を置かれてしまい、
しばらく落ち込んだように記憶している。
あたしは友達より自分の欲望を優先する、
やはり卑怯な子供だったのかも知れない。
大人になってからもクリエイターとかがインタビューで
「やっぱり仕事って人ですよね。何をやるかより、誰とやるかですよ」
みたいな事を言っているのを見かける。
・・・もしそうなんだとしたら、
あたしはどうやらクリエイターではないらしい。
友達と飼育委員になることよりも、
一人でも飼育委員になってニワトリと戯れることを選んだ。
養鶏場のニワトリとは違って、
小学校で飼われていたニワトリは、
毛並みがきれいで割りと小ぶりで大人しい性格だった。
当番の日は少し早起きして
誰もいない学校に入っていくのも好きだったし、
返事もしないニワトリに話しかけて
その日のニワトリについて家族に話す。
じゃんけんに負けた友達には悪いが、
飼育委員の仕事は楽しくさせてもらった。
仕事は一人でもいいと今でも思っているから、
昔から孤独な気質なのかも知れない。