「アンパンマンミュージアム」は、全国各地に点在している。
今では子供に大人気のアンパンマン。
だが、最初からここまでの人気があった訳ではない。
アンパンマンがアニメ化した頃、人気アニメにはなったものの、そもそも幼児向けの番組だっため、世間でも知らない人が多かった。
原作者のやなせたかしも、自分の作品がアニメになって人気が出てきたとは言っても、「まあこんなもんだろう、そのうち終わる」と冷めていた。
関連グッズの売上も次第に下降しはじめ、低空飛行になった。
アニメが辿る普通のコース。
やなせたかしは、自分の奥さんの他界のタイミングが、「アンパンマンの人気が低迷する前で、かえって良かったかもしれない」とまで言っている。
アンパンマンは、彼らの息子であるも同然。息子が坂道を下り始めるのを見せたくなかったという、やなせたかしの奥さんへの気遣いもあったかも知れない。
そんなアンパンマンの人気低迷期の1996年に、アンパンマンミュージアムは建てられたようだ。
人気が落ちてくる頃にミュージアムだなんて、「やなせたかしはアンパンマンの過去の人気にすがっている」と言った人もいただろう。
ところが、老人の道楽&ハコモノ公共事業だと思われていたミュージアムに奇跡が起こる。
以下、「アンパンマンの遺書」文庫版あとがきより引用。
こんな田舎の過疎の町にミュージアムなんか建てても誰も来ない(中略)
(ところが)開館二ヶ月で十万人の入場者があり、田舎の狭い道はクルマの渋滞、
食堂とトイレと駐車場が足りないという騒ぎになり、
「公立ミュージアム・ハコモノの奇跡」と新聞記事が出た。
高知県香美市の人口は27,000人ちょっと。
アンパンマンミュージアムのある香北町に限定すると、5,000人を下回る。
二ヶ月で10万人というのは、確かにちょっとした騒ぎになっただろうと思う。
そして、充分な集客力が確認されたところで全国展開となったようだ。
平成二十五年でアンパンマンミュージアムは高知・横浜・名古屋・仙台・神戸と全国五ヶ所になり、まだ増えそうな気配もある。
もうボツボツやめたほうがいいのではないかとぼくは心配している。
なぜこうなったのだろう? 作者のぼくに分かるはずがない。
ちなみに、高知だけは「香美市立やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム&詩とメルヘン絵本館」という公立ミュージアムで、ほかのアンパンマンミュージアムは「アンパンマン『こども』ミュージアム」と若干名称も違う。
そっちの方は、AMCという会社が主に運営しているようだ。
(地域によって、一緒に運営している会社が違う。だいたい地元のテレビ局が絡んでいるようだ)
なので、採算が採れるようにやっているんだろう。
やなせたかしの心配もよそに、彼の他界後、福岡にもオープンした。
これで「アンパンマンこどもミュージアム」の方は5ヶ所となり、高知のものもあわせると6ヶ所というわけだ。
各ミュージアムの比較なんかも面白そうだが・・・自分だけで回るのは、金銭的に限界もあるんで(あと気力も)。
全国各地のアンパンマンミュージアムは、おそらくだが、ほぼ一緒の作りなんだと思う。なので、素直に最寄りのミュージアムに行けばいいって事だと思いたい。